2017年5月6日土曜日

今こそ、排外主義にNO!4.16ACTION-日本の難民・入管政策を撃つ!- 集会&デモの報告


トランプの大統領就任とその移民排斥を筆頭にした極端な排外主義政策に、アメリカ内外から怒りの声が上がった。翻って、日本ではどうなのか。大きな怒りの声が上がったか?
そもそも昨今に跋扈し始めた排外主義勢力登場のはるか以前から日本で続けられている、移民受け入れの拒絶・人権無視の入管政策・搾取の対象としかしない外国人労働者の扱い。これらを漫然と許してきてしまった日本人総体のあり様をあらためて見つめ直し、変革の第一歩とすべく今回の企画を立ち上げた。また、幅広い陣形形成を目指し、今回はAPFS労働組合と直接行動との共催という形を取った。

 集会はAPFS労組山口委員長の司会挨拶で始まった。本来は労組所属の外国人労働者から生の声を聞きたいところだが、会場前に露骨に陣取る公安警察の目もあり、政治活動関与を理由にした不利益を蒙る可能性があり諦めざるを得ない、との話がなされた。弱い立場にある当該の人々に思いを馳せる必要性は勿論、冒頭から日本人と外国人労働者の関係性を突きつけられた思いだった。
 続いて連絡会メンバーによる集会趣旨説明。ヘイトスピーチ解消法に「適法居住要件」が入れられてしまった問題があり、移民・難民反対デモは今も行われている。国連勧告を踏みにじる条文を含んだ法律が通り、頻繁な大量強制送還、入管施設内での死亡事件も起こっている、と日本の政策が悪意に満ちたものであると弾劾した。
 
メインの講演は、山村淳平さんによる「入管にひそむ排外主義-現場からの報告」。山村さんは内科医として在日外国人の医療に携わり、難民・実習生問題に取り組みながら移住者支援を行っておられる。
 山村さんは医師らしく、難民・移民を巡る社会問題を病気になぞらえ、診断・治療・予防という観点から話をされていった。
 日本の入管は外国人嫌悪症候群という病に侵されている。諸外国と比べて規制が厳しく、受け入れ態勢というものがそもそもない。要は不認定・排除のための法律となっていて、在日朝鮮人を追い出すために作られた法律の動機を今だに継承している。申請数が少なかった80年代初頭はそれなりの数値だった難民認定率は2016年は0.3%28人)。(本文作成者補足:ネット上のある記述によれば、2014年は、カナダ46%1万人、イギリス31%1万人、アメリカ30%2.2万人、ドイツ26%3.3万人、韓国4%94人、難民発生周辺国はこれらより更に大きい数値になると思われる。)
 90年代からはオーバーステイ(非正規滞在)も増えてきた。2014年からこの件の取締りが強化され、労働相談場所の前で待ち伏せるケースも見られた。こうなると、医療を受ける権利さえ奪われていくことになる。
 収容所の収容率は減少傾向にあるものの、病人・子供・妊婦までもが収容されている。そもそも、認定されないと分かっている難民申請者を何年も収容することに何の意味があるのか。自殺未遂は毎年40件に及ぶ。権力による暴行事件も減少傾向ではあるが、今だに頚椎症に至るケースが発生する。
 2013年からはチャーター機による強制送還が始まった。2015年には一人当たり159万円(22)かかった。これ程の予算をかけて行わなければならないことなのか。送還中の飛行機内での死亡事件も起こっている(一審では勝利)。送還されれば生活基盤は崩壊するし、生命の危険にさらされるケースもある。
 日本人は単一民族という幻想(嘘)で日本という国家を権力は維持しようとしている。これを維持するために、メディアをも動員して排外主義ウイルスを撒き散らして民衆を洗脳し、差を差別へと転化して民衆への統制支配の道具としていく。差別し隔離していくやり方はまるで悪しき感染症対策だ。
 こういう外国人嫌悪症候群へは予防注射が必要。ウイルスを撒き散らす法務省・入管の監視や申し入れが必要だし、民衆・マスコミ等への情報発信も行っていかなければならない。

講演後の参加者との質疑では更に様々な問題点が提出された。諸外国では「移民政策」なのに、日本では入国「管理」で、そもそも受け入れるという考えがない。50年代ならまだしも、グローバル化が進んだ現代においてはこの体制を維持するのは無理。自治体が謳う「多文化共生」とも相容れない。難民条約に加盟しているのは常任理事国の座を睨んだ国際的アピールに過ぎない。強制送還についても掘り下げられ、突然の強制送還によって家財道具や貯金も放棄させられ生活基盤を失うばかりか、刑務所へ直行させられたスリランカ人2名の例、日本人と結婚したイラン人の場合で日本人女性が移住したケース、50年前ではあるが在日朝鮮人2名が処刑された例、が語られた。
更に、法律を変えるには国会議員への働きかけが必要だが、票にならないため基本的には議員には興味がない状態、そもそも日本では民衆の権利が軽んじられているという土台の上に外国人への処遇がある、民衆が権力に疑いを持つ必要がある、等々が語られた。

 山村さんの講演終了後は友好団体から連帯の挨拶をいただいた。デマで沖縄への偏見をあおるMXニュース女子を許さない市民有志・共謀罪の創設に反対する百人委員会・反天皇制運動連絡会・難民を支援し連帯する会、からアピールを受けた。
 日本にいる220万人の外国人・90100万人の移住労働者と同じ人間として手を繋げる社会を作り上げようという司会の挨拶と、直接行動メンバーによる集会決議の読みあげの後、賑わいのある高田馬場を通るデモに出発した。
 なお、参加者は集会80名、デモは70名でした。

2017年5月5日金曜日

4/16集会決議

 

2009年、埼玉県在住のフィリピン人一家の「追放」を叫ぶヘイトデモ=在特会をはじめとする差別・排外主義勢力との闘いは、この時のカウンター行動をきっかけに開始された。

 8年後の今、反ヘイト・反レイシズム運動はこの問題を社会化し、ヘイトデモを阻む一定の成果を勝ち得てきたが、社会的状況は悪化の一途をたどっている。街頭からネット空間までヘイト・レイシズムは凄まじい勢いで増殖し、沖縄の辺野古・高江の闘いに対しては、警察権力の弾圧と一体となって差別・デマ攻撃―バッシングにのりだした。この攻撃はまた「共謀罪」法案が狙う運動つぶしに通底するものだ。日本会議と癒着する安倍政権も、「教育勅語」肯定発言にも体現されているように、その醜悪なる本性を露わにしながら改憲―戦争のできる国へ向かっている。

 トランプの大統領就任以降のアメリカでは、あからさまな移民排斥、人種差別発言と司法もメディアも敵に回す政策など排外主義ナショナリズムを剥き出しにした政権に対して、国内はもとより全世界で怒りと反撃の狼煙が上がった。

この事態に、安倍政権はトランプに恭順の意を示し、差別・排外主義勢力が喝采を送る一方で、世界の怒りの声に連帯する声は圧倒的に弱いのが日本の現状である。それどころか、未だにポピュリズムの問題に解消したり、グローバリズムに対する反乱だのといった論調がまかり通っている。しかし、何よりも問題とすべきは、そもそも民主主義国家?としては信じがたき難民受け入れの少なさ、外国人の人権を踏みにじる旧態依然の入管体制・政策、移住労働者への不当な搾取・差別的処遇ではないのか。それらを放置することなく根本から改めさせ、現状を変革してゆくこと抜きに、国境を越えた連帯も空疎なスローガンでしかない。

 4.16ACTIONは、そうした現状認識と危機感をもった運動体が結集し、各々が連帯・共闘関係のなかで積み上げてきた個別課題を共有しながら、個別課題を越えた共同討論・共同闘争の地平をともに作り出すステップとして準備された。まだささやかな一歩ではあるが、暗雲立ち込める現状に風穴を明け、前途を照らし出す光明として発展させてゆきたい。

格差・不平等を拡大しマイノリティへの憎悪を煽る排外主義ナショナリズムを許すな! 沖縄への弾圧とヘイト攻撃に抗し沖縄の闘いに連帯しよう! 日本の難民・入管政策を改め難民を受け入れろ! 移住労働者の権利を守り、当事者と結んで闘おう! 生きる権利に国境はない! 権利のための闘いを圧殺する「共謀罪」を葬り去ろう!


                                2017416
           今こそ、排外主義にNO! 4.16ACTION参加者一同