2012年9月26日水曜日

「差別排外主義にNO! 9・23行動 2nd」行わる!


 昨年に引き続き、今年も9月23日に「生きる権利に国境はない! 私達 の仲間に手を出すな! 差別・排外主義にNO! 9・23行動 2nd」」とした集会とデモが行なわれました。東京は冷たく強い雨でした。激しい雨のなか西戸山公園に足を運んでくれた参加者は、これまで色々な機会に交流を重ねてきた人、ビラやネット の告知を見て初めて足を運んでくれた人、総勢130名。かなりの雨でスタッフは少人数でのデモを覚悟していましたが、その困難な条件のもと多くの心ある仲間が集まってくれました。
 デモに先立ち集会が開催され、主催者である差別・排外主義に反対する連絡会の仲間から、この一年間、在特会など「行動する保守」勢力による在日朝鮮人など在日外国人への差別・排外主義に満ちた攻撃がやまないばかりか、日本社会の閉塞状況、不況、社会不安の増加によって更に増長し、最近では反原発運動への敵対行動も目立ち、また、大久保地域への執拗な嫌がらせ行動などが続いており、本日の行動は単にこの地域をデモするだけでなく、地域の外国人へ私たちのメッセージを届け、交流の場としよう、という意義が提起されました。
 次に、この集会・デモに賛同する団体からの発言がありました。差別や排外主義が吹き荒れるそれぞれの現場からの発言が続きました。いまだに差別的扱いが続く高校無償化問題からは「「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」、渋谷地域における急激な野宿者排除の嵐にさらされる「のじれん(渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合」、天皇・靖国問題で右翼からの攻撃にさらされる「反天皇制運動連絡会」、朝鮮人従軍慰安婦問題を取り上げた安世鴻さん写真展で数度にわたる妨害にさらされ続けた「『重重』市民でつくる写真展in練馬実行委員会」、川崎地区で慰安婦問題を問い続ける「日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会」、そしてなお生活困窮者の排除がつづく荒川や墨田の仲間たちからの問いかけとして「荒川・墨田・山谷&足立実行委員会」や「竪川河川敷公園」からの野宿者排除に反対する発言があり、最後にこの日本の地に逃れてきたビルマやエチオピアそのほかの多くの難民問題を踏まえた「難民を支援し連帯する会」からの発言がありました。
 「今回のデモの 目的は私達の連帯のメッセージを地域に届ける事」と意思一致をした後にデモは出発。デモコースは多くのコーリアン・ショップがひしめく大久保通り、そして明治通りを経由してここにも韓国ショップが多くある職安通りをシュプレヒコールを挙げながら進みました。この一帯は韓国をはじめ、南アジア、アフリカ等のエスニックな店が並んでいます。日本人とオールドカマー、ニューカマーが共に働き暮らす街です。しかし最近では毎週のように差別・排外主義的なメッセージを掲げたネット右翼たちの嫌がらせデモが続いており、住民たちはこの嵐に「沈黙」で応じる事を強いられています。私達はデモに先立つ一週間ほど前に、この地域の人々と知り合い、デモの趣旨を説明しメッセージを伝えるためにビラとリーフレットを手に店々を回りました。さまざまな反応がありました。多くがニューカマーの人々ではありましたが「朝鮮人はでていけというのはまだ我慢できる、しかし朝鮮人は殺せという罵言は許せない」、そんな憤りがすべての実情をあらわしていました。私たちのデモや活動の説明をすると「じゃあ店の中にビラを預かろう。30枚くらいあるかい?」との申し出も。こうした事前の訪問もあって、土砂降りのなかにもかかわらず沿道からは多くの人たちが好感の意をもって私たちを迎えてくれたようでした。ネット右翼たちが店に因縁をつけワゴンを蹴飛ばしても警察はそれを許してきたという現実があります。そのことに対するやり場のない憤りというものが大久保の町に蔓延しているのではないかという思いがスタッフの脳裏に去来します。
 とりわけ「尖閣」や「竹島」という領土問題で急激に国家間ナショナリズムによる対立があおられている現状です。そんなきな臭い状況の中で、私たちは憎しみのナショナリズムに屈することなく、連帯の声を大久保の町に上げるべくデモを行いました。もちろん、私たちはその町に押しかけるのではなく、差別・排外主義に反対する者たちがなお「ここにいる」という存在の連帯性を証明するために行動したのでした。事前の訪問では「尖閣や竹島問題なんてのは政治家が勝手にあおっているので私たち民衆には関係ない」と、こちらが何も言わないのに切り出した店主は、丁寧にも店の入り口まで送ってくれるという一幕もありました。
 土砂降りの大久保の町にシュプレヒコールが響き渡ります。「외국인을차별하지마 ウェグギヌルチャビョラヂマラ! 外国人を差別するな!」。そしてプラカードには「살아가는 권리에 국경은 없다! サラガヌン クオルリエ クッキョングン オプタ 生きる権利に国境はない! 」。私達のビラには日本語以外に中国語、ハングル、ベンガル語でメッセージが綴らました。
 デモはつつましくも大きな目標を達成して無事に終了しました。参加された皆さん、ありがとうございました。そして参加できなかった皆さんにも、ここに熱い「連帯の思いを伝えたいと思います。私たちは誰でもが参加できる、しかしいま声をあげねばならない本質的な問いに導かれて、今後もさまざまな試みを行っていきたいと思います。
 私達はなお気を緩めることができません。デモの翌週には池袋で中国人に対する外国人排外を訴えるデモが行われ、同じ日に大久保のタウンが再び攻撃にさらされる事態が発生してます。「お前ら出て行け」「ぶっ殺すぞこの野郎」、そうした聞くに耐えない罵言をまきちらす愚かしいネット右翼たちは、しかしその騒々しいパフォーマンスにもかかわらず、この社会の背後に進行する深刻な差別・排外主義の「露払い」に過ぎないのだと私たちは考えます。そうした「前景」の背後には、連綿と続くわれわれの地のおぞましくぬぐいがたい現実が横たわっていること、そうした不気味な「後景」をうつことこそを私たちは望みます。
 無関心と沈黙、そして惰性こそがこの社会の退廃と解体を準備するのではないかということ、気づいたときには「それは」私たちの玄関前にきてしまっているのだということ、そんな歴史的教訓を踏まえつつ、私たちは訴えます。
 「やつらを通すな! NO PASSARAN!」
 私たち自身のために。そして多くの不可視の、まだ見ぬ連帯のために。
 
      2012年9月 
 

差別・排外主義に反対する連絡会
http://noracismnodiscrimination.blogspot.jp/
Email:hannhaigaisyugi@gmail.com

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